AIなんか怖くない
先日厚生労働省が「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」懇談会を開催し、報告書を発表しました。
その報告書を読んで近い将来やってくる働き方の大きな変化について考えなければならないと感じました。
たった20年前、インターネットが普及したことで私たちの働き方は大きく変化しました。
時間、場所を問わず人と繋がることができ、仕事の効率も大きく向上しました。
少子高齢化が進み、労働力人口が減少するのが確実である近い将来、働き方は大きく変わると予想されます。
その変化とは、労働力人口減少の解消として注目されているAI(Artificial Intelligence人工知能)搭載ロボットの導入です。
AIがやってくると自分たちの仕事がなくなってしまうのではないかと戦々恐々としている人も少なくないのではないでしょうか。
そんなことはないと思います。では将来、どういった働き方が求められるのでしょうか?
1.今急いでいるダイバーシティーについて考える
AI化が進むと、生産する仕事、事務的な仕事は全てAIがこなすようになるでしょう。
そうなると工場等の作業場、オフィス内に留まって働かされるという時代ではなくなります。
賃金制度は、働いた時間に対する賃金ではなく、完全に成果型の報酬制度に変化していくと思われます。
AI化により働く場所の制約がなくなれば、高齢者、障がいを持った人、育児・介護をしている人などの垣根を超えて、全ての人が仕事を選べる時代、その人に合った働き方がいつでもどこでもできることが期待できます。
そのためにも、今現在ダイバーシティーに対する意識を高めていくことが大切です。
2.国境を超えた副業
AIによる翻訳技術の革新は大きな影響を与えると思われます。
瞬時に翻訳できるAIが導入されれば、言葉の壁もなくなります。
そうすれば、世界のどこにいても世界中の仕事ができることになります。
ただし、日本がそれに対応していなければ、優秀な人材は技術革新が進んだ外国に流れて行ってしまう恐れもあります。
複数の仕事を選べる社会に発展していくことで、日本は就労しやすい国というイメージに繋がり、外国の優秀な人材を確保できる可能性も高まるのではないでしょうか。
3.社会保障制度の改革
今世帯単位で、保障している現在の社会保障の制度を、働く1人1人を対象とすることが検討される必要があります。
配偶者を扶養するという制度のために働くことを制限している人がたくさんいます。
働きたい人が自由に働ける制度作りが早急に必要となってきています。
今世界が注目しているベーシックインカム制度を取り入れるのも一つの方法かもしれません。
ベーシックインカムは生活の最低保障ですが、働く意欲をなくしてしまうものであっては意味がありませんので、国民性に合った基準を設ける必要がありますね。
4.AIにはできない人の心への関わり
AIに代わる仕事が増えたとしても、人にしかできない仕事はたくさんあります。
やはり人が求める心の部分の関わりはについて、AIは到底人にはかないません。
AIと共に共存し、AIにはできない人の心に関わる部分は人が担当するというようになるのではないでしょうか。
カプセル・ビジネスホテルのフロント業務はAIが担当するようになるでしょうが、一流高級ホテルの心のおもてなしは人にしかできません。
営業も心と心の掛け合いにより契約が成立します。
私たち社会保険労務士の業務(給与計算、手続きなど)もAIによって減少していくかもしれません。
そうなったときに私たちにできることは何かと考えると、やはり事業主や従業員の心に寄り添うことだと思います。
AIには定型的で事務的な相談はできるでしょうが、それだけでは人との信頼関係の構築はできません。
今一度、人とのつながりの大切さを改めて考えたいと思います。
働き方の変化が起きようとしている今が一番難しい時期なのかもしれません。
生きづらさを感じる人が多いのも、今だからこそかもしれません。
そのような生きづらさが解消され、全ての人が自分のキャリアをしっかり描け、それぞれの価値観に合った働き方ができる時代が目前にあることを期待しています。