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お役立ちコラム

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しっかり約束を守りましょう!退職後の会社の機密漏えい

 ○○株式会社のM社長が血相を変えて飛び込んできました。

 「大変だ!!会社の大事な営業秘密を退職したSが漏らしたようで、弊社は大きな損害が出そうなんだ!!就業規則にも規定してあるのにどうしてこんなことに・・・」

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会社の機密情報と保護される法律の関係

 社員に対して会社の機密情報について退職後に守秘義務を課すためには、就業規則の規定、個別の機密保持誓約書などの労働契約上の根拠が必要となります。

 また、その守秘義務は制限なく課すことができるわけではなく、機密保持に当たる範囲を明確にしておかなければなりません。

 その中でも会社の営業秘密を不正利用した場合は、不正競争防止法違反で刑事罰に処される場合もあります。

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 会社の機密情報と不正競争防止法の関係

 不正競争防止法の保護対象となっている「営業秘密」とは次のような内容のものとなります。

 この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。(不正競争防止法 第2条)

 

 そして、営業秘密として認められるためには次の3つの要件を満たさなければなりません。

1.「秘密として管理されている」こと(=「秘密管理性」)

2.「生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報」であること(=「有用性」)

3.「公然と知られていない」こと(=「非公知性」)

 

 不正競争防止法が適用されるのは、「不正な利益を得る目的」や「その秘密の保有者に損害を与える目的」で営業秘密を漏洩した場合と保護範囲は限定されています。

 

在職中と退職後では守秘義務の取り扱いが違う?

会社の機密情報を守る義務を社員に課すための根拠は、在職中と退職後を分けて考える必要があります。

 

・在職中の守秘義務

在職中の社員の守秘義務について判例では次のように解されています。

図3

 つまり、就業規則の規定や個別の特約にかかわらず守秘義務は発生します。

 社員が守秘義務違反をした場合には、就業規則の規定に則って懲戒処分や解雇、債務不履行または不法行為にもとづく損害賠償請求や差止請求(履行請求)が可能です。

 

・退職後の守秘義務

 退職後は雇用契約関係が終了しているので、その権利義務関係がなくなった後には守秘義務を課すことができません。

 退職後の守秘義務については在職中とは別に就業規則の規定や退職後の秘密保持の誓約書などにより、守秘義務を課すことができます。

 退職後の秘密保持の誓約書は訴訟になった際には有力な証拠となります。不正行為を理由にするよりも契約違反であることを理由にする方が、損害賠償請求の立証責任で有利になると考えられます。

 

退職後の守秘義務の範囲の合理性

 退職後の守秘義務の範囲ついて、判例では以下のように解されています。

 この事件では、顧客情報や取引内容などを機密事項として退職後も守秘義務を課す契約書が交わされていました。

図2

 企業秘密とされるものには様々なものがありますので、訴訟になった際無効とされないためには、就業規則や退職後の守秘義務を課す契約書の中に守秘義務の対象となるその秘密の内容や期間などを明確にしておく必要があります。

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