拒否できますか?会社の研修
1.研修の参加は強制それとも任意の参加?
多くの会社では社内研修の機会を設けていると思います。
その研修の参加が会社から義務付けられているものなのか、任意で参加するものなのかを明確にしておきましょう。
社員のキャリアアップのためにはその研修が業務に有効的なものであるのなら、参加を義務付けることを就業規則に定めておくことが必要です。
研修の参加を義務付けたのであれば、当然その時間は労働時間となります。
終業時間後に参加するならば時間外労働となりますし、休日に参加すれば休日労働になりますので割増賃金の支払いが必要です。
2.研修を実施するうえで注意すること
研修の内容を決定するうえでのポイントは
・それぞれの部署の状況を把握したうえで、何が足りないかを判断する。
同じ研修を毎年続けていませんか?
実際に現場の意見を聞きながら、それぞれのニーズに合った研修は何かを経営側が判断するようにしましょう。
新入社員研修や、管理職研修、コーチング、メンターなどセミナー講師を派遣するなどして実施している会社もあります。
・研修の費用対効果を考える
例えば、中国語が会社の業務として必要となった場合、社員に中国語を習得させようと研修を義務付けた場合、習得までにかかる時間とコストを考えると、中国語を話せる人を採用した方が早いかもしれません。
研修して解決できるものなのかどうかをしっかり検討しましょう。
・研修対象者の選定
社員全員に研修を受けさせることは効果的ですが、労働時間内に行う場合、その時間は業務が滞ってしまいます。
対象者を限定し、なぜその人に必要な研修なのかを明確にしておきましょう。
そして他の社員への理解のために研修について説明することも忘れてはなりません。
・研修の報告書提出
本人が研修に真摯に取り組んでいるか、理解度の具合を把握するうえで報告書の提出を義務付けることは有効的です。
3.研修中に有給休暇を申し出てきたら?
参加が義務付けられている研修中に有給休暇を取りたいと社員が申し出てきた場合、その研修の必要性の度合や後日補填が可能なのか等を考慮して、有給休暇の時季変更権の行使が可能となります。
過去の判例ではこのように解されています。
社内研修等の期間が比較的短期間で,当該社内研修等により知識,技能等を習得させる必要性が高く,研修期間中の年休取得を認めたのでは研修の目的を達成することができない場合は,研修を欠席しても予定された知識,技能の習得に不足を生じさせないものであるような場合でない限り,年休取得が事業の正常な運営を妨げるものとして時季変更権を行使することができる。(NTT(年休)事件H12.3.31 最高裁) |
キャリアアップのための研修は派遣社員には派遣法で義務付けられていますし、非正規社員に実施することで助成金の対象になったりとメリットもたくさんあります。
何よりも本人のモチベーションアップにも繋がりますので、積極的に実施されることをお奨めいたします。