ぶっちゃけ「同一労働同一賃金」って何?
テレビや新聞でよく目にする「同一労働同一賃金」。
国会で何を話し合われているのでしょうか?
その名の通り「同じ労働には同じ賃金を払いましょう」ということです。
契約社員や派遣社員で働いていた方はこんな思いをしたことはないですか?
「私よりも正社員の人の方が早く帰るんですけど・・・残業しても私の方がお給料安いのに」
「正社員と同じ仕事しているのに、私は契約社員だから賞与が出ない。」
「食堂を正社員の人は堂々と使っているけど、パートの私たちは肩身の狭い思いをしながら使っている。」
「正社員の人たちは教育訓練を受けさせてもらっているけど、契約社員の私たちは受けさせてもらえない。」
私は契約社員の事務員だった時、契約が切られるかわからないので、会社の役に立とうと必死で仕事をしていたのにもかかわらず、正社員の事務員さんは電話にも出ない、営業さんの仕事の依頼を断るという状況でした。
彼女たちは正社員だけに与えられた制服という鉄の鎧で守られていたのです。
先日、厚生労働省より同一労働同一賃金についてのガイドライン案が発表されました。
さて、これからは正社員とパート、契約社員とでは待遇をどのようにしていけばいいのでしょうか?
1.「基本給」編
日本の賃金制度において決定する基本給は以下の基準を組み合わせて決定されていることがほとんどです。
① 勤続年数や年齢を基準とするもの
② 本人の職務遂行能力を基準とするもの
③ 本人が実際に成果として残した能力を基準とするもの
④ 職務や役割を基準とするもの
これらを非正規社員にも正社員と同一条件で支給しなければならないということです。
ex1)
正社員Aさん:フルタイム出勤、土日出勤可能
パート社員Bさん:週4日、4時間勤務、土日出勤不可
このような場合は、土日出勤が可能かどうかで基本給に差をつけることはOKです。
ex 2)
正社員Aさん:フルタイム勤務、勤続年数10年
契約社員Bさん:フルタイム勤務、勤続年数15年
Aさんは勤続年数に応じて基本給を支給されているが、Bさんは契約更新の都度、その契約期間に応じた評価により基本給を支給されているようなパターンはNGです。
2.「賞与・手当」編
賞与・手当は、基本給と違って会社が独自に労使との交渉により設定できるものであり、非正規社員には支給されていない会社が多くあります。
今後は、正社員と同様に会社に貢献している非正規社員には同様に賞与・手当を支給しなければなりません。
非正規社員に支給するぐらいなら手当を廃止しようとすると、正社員にとっては不利益変更となりますので、むやみに廃止しないようにしましょう。
ex 1)
正社員Aさん:フルタイム勤務、店長
パート社員Bさん:短時間勤務、店長
同じ役職の店長ですが、フルタイムのAさんは役職手当が満額支払われているのに対し、BさんはAさんとの時間比例で減額された役職手当が支払われているような場合はOKです。
ex 2)
正社員Aさん:フルタイム勤務、店長
契約社員Bさん:フルタイム勤務、店長
役職は同じ店長ですが、契約社員であるBさんは正社員のAさんよりも低い役職手当が支払われているような場合はNGです。
3.「福利厚生」編
食堂や休憩室、着替え室などで、非正規社員が気まずい思いをしているようなことはありませんか?
慶弔休暇、健康診断、病気休職は正社員と平等に取得できる機会を与えていますか?
ex 1) A社の病気休職制度
勤続1年から3年の正社員・・・6カ月
勤続3年から5年の正社員・・・1年
勤続5年以上の正社員・・・・・2年
契約社員については、契約期間の残りの期間を病気休職期間として取得させることを認めているような制度はOKです。
今一度、非正規社員の処遇について見直してみてはいかがでしょうか?
非正規社員の処遇を改善することによって、支給される助成金もございます。
また、平成29年4月には非正規社員の処遇改善に関する新しい助成金制度が発表される予定です。
非正規社員の処遇改善についてのご相談もお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。