なぜ?スタッフが長続きしない、サロンの美容師
美容師の3年以内の離職率は80%、10年以内になると92%という調査結果が出ています。
せっかく技術を教えて時間をかけて育ててきた社員が次々と辞めてしまう状況を経営者は受け入れるしかないのでしょうか?
サロン業界の常識として捉えるしかないのでしょうか?
1.なぜスタッフは定着しないの?
・長時間労働とハードワーク
アシスタント(見習い)の間は朝は掃除から始まり、日中はスタイリストの補助とシャンプーの立ち仕事、夜は実務の勉強で終電近くの帰宅の毎日。
これがスタイリストになれるまで毎日続くとなると、挫折するアシスタントも多いのもわかります。
シャンプーやカラー剤で手が荒れてしまい、続けれられなくなる人も少なくありません。
就業時間後の実務の勉強は任意で黙認しているサロンも多いですが、時間外労働とみなされるケースも多いです。
後に未払い残業代として支払わなければいけなくなると、莫大な金額となっていることもありますので、自主的な実務勉強でも労務時間管理はしっかり行うようにしましょう。
・賃金が低い
美容師の平均年収は282万円となっています。一般的な平均年収が400万そこそこだとすると圧倒的な低さがわかります。
美容師の平均年齢は41.5歳となっており、勤続年数の平均は11.9年という調査結果が出ています。
年収何千万も稼ぐカリスマ美容師はほんの一握りなんですね。
・人間関係
これは私もよく相談を受けました。競争社会の中で勝ち残るには、周りのアシスタントを蹴落としてでも早くスタイリストになりと思う人が多いのです。
せっかくスタイリストになれたとしても、店長やオーナーと方針の違いで衝突し、辞めてしまう人も多いようです。
経営者の方針を一方的にスタッフに押し付けるのではなく、経営理念を共有できるような人間関係の構築、月間目標を社員一丸となって達成しようという共有意識の構築が大切です。
2.美容師の定着率をアップするには?
・美容師はやりがいを感じている
株式会社インテリジェンスの調査では美容師を続けているのはなぜかという調査の結果1位は「やりがいのある仕事だから」と答えた人が53.8%でした。
やりがいを感じさせるにはやはりこのサロンでどこまでキャリアアップできるかが想定できることだと考えられます。
いつまでたってもシャンプーばかりでハサミを持たせてもらえない、先が見えない状態が何年も続くようであれば、誰でも辞めたくもなるでしょう。
OJTやOFFJTの実施、検定試験制度などを設けてスタイリストになってからも将来性を描けるような職場環境にすることが大切です。
非正規の社員が検定試験に合格することで正規のスタイリストになれるような場合は、要件を満たしていれば、キャリアアップ助成金を受給することができます。
正社員になってからもさらにキャリアアップのための研修、資格制度を設けた場合は、キャリア形成促進助成金の適用が可能になります。
・受給した助成金で賃金アップ
昇給が期待できないと辞めてしまう美容師は少なくありません。
特に下積みが長いアシスタント時代にやる気をなくしてしまう人が多いようです。アシスタントでも実技試験に合格するごとに数千円程度アップする仕組みを作るとモチベーションも上がりますし、キャリアアップ志向もどんどん高まります。
助成金を活用し、社員の昇給分に充てることでより一層定着率もアップすると考えられます。
・良好な人間関係
お客様争奪戦の競争社会なので横のつながりはない、上司とも揉めるというような職場環境では、人間関係は一向に良くなりません。
年に1度はレクリエーションの機会を作りましょう。
社内旅行(有名な大手サロンでは年に1度海外旅行を実施しています)、フットサル、ボーリング大会、バーベキューなど、みんなが楽しめるイベントであれば何でもありです。
飲み会ばかりだと愚痴ばかりになる可能性もあるので、みんなで達成感が共有できるようなイベントが理想的です。
自分を綺麗にしてもらうために不可欠な美容師さん。せっかく相性の良い美容師さんが見つかったのに、辞めてしまっては、ユーザー側としても残念ですよね。
ユーザー側の私たちも綺麗にしてもらったら、感謝の気持ちを伝えましょう。アシスタントの方にも気持ちよくシャンプーしてもらったら褒めてあげましょう。
日頃からお客様から褒めてもらったこと、要望などスタッフ全員で共有することも大切です。
そうすることで、美容師さんはもっともっとやりがいを感じてくれるはずです。