適正ですか?年俸制の社員の勤怠管理
年俸制とはどういうものか
年俸制をとっている会社の支給例では、年俸額を16等分し、4か月分を賞与として支払うなどの方法がとられています。
年俸制とはいえ、年に1回の支給となると、労働基準法第24条「毎月1回以上一定期日払いの原則」の違反となります。
年俸制は成果主義賃金制度の表れで、目標を設定し、その目標達成度により評価して年間の賃金額を決定する制度です。
人件費の削減のために年俸制を取り入れていませんか?
年俸制は年間の報酬だからその中には残業代も含まれているから残業代は払わなくていいし、勤怠管理も必要ないと解釈している会社も少なくありません。
行政解釈では以下のように解されています。
一般的には、年俸に時間外労働党の割増賃金が含まれていることが労働契約の内容であることが明らかであって、割増賃金相当部分と通常の労働時間に対応する賃金部分とに区別することができ、かつ割増賃金相当部分が法定の割増賃金額以上支払われている場合は労働基準法第37条にしない(平12.3.8基収78号) |
1年間の賃金総額が決定しているとなると、確かにその中に残業代も含まれているようにみえますが、年俸額の中に残業代を含める場合は「月○時間分の月額○万円分の割増賃金を含む」と年俸の契約時に明確にしておく必要があります。
ただし、契約であらかじめ決められた時間内の残業であれば、割増賃金は支払う必要はありませんが、その時間を超えて労働した場合には、割増賃金を支払わなければなりません。したがって、勤怠についても適正に管理しておく必要があります。
年俸制の割増賃金の計算
割増賃金を計算する際には以下の手当は算入しません。
・家族手当
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当
・臨時に支払われる賃金
・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
「臨時支払われる賃金」「1か月を超える期間ごとに支払われる賃金」とは賞与が該当しますが、年俸制の賞与について行政解釈では以下のように解されています。
年俸制であらかじめ支給額が確定している賞与部分は労働基準法の賞与とはみなされず、賞与部分を含めて当該確定した年俸額を算定の基礎として割増賃金を支払う必要がある(平12.3.8収78号)
またその割増賃金の計算方法としては以下の通り解されています。
決定された年俸額の12分の1を月における所定労働時間数(月によって異なる場合には、1年間における1ヵ月平均所定労働時間数)で除した金額を基礎額とした割増賃金の支払いを要す。
例えば年俸額800万円で、毎月の給与が50万円、賞与が夏冬各100万の場合、その毎月の給与額の50万円は割増賃金の算定基礎にするわけではなく、年俸額800万円を12カ月で割った金額(66.6666万円)を算定の基礎とすることになります。
割増賃金の算定基礎額=(800万円÷12カ月)÷1カ月平均の所定労働時間数
この割増賃金の算定基礎額に割増率や時間数に応じて割増賃金を計算します。