パートタイマーにも休業手当を正しく適用しよう
業績悪化による勤務日数の減少
会社の業績が悪くなったからといって、週5日勤務のパートタイマーを週3日に減らしたりすることは、たとえ一時的な措置だったとしても、これは合意なく労働契約の内容を変更したことになります。
この場合は「使用者の責めに帰すべき事由による休業」にあたり、平均賃金の6割以上の休業手当を支払わなければなりません(労働基準法第26条)。
休業の取り扱い
休業とは事業の全部または一部が停止しただけではなく、特定の従業員を一方的に休業させた場合も含まれます。また、1日の一部を休業する場合も含まれます。
一方、従業員との合意の上、勤務日数を減らし、労働契約を変更することについては、休業とは取り扱いません。
ただし、労働契約の不利益変更は従業員との合意がなければできませんので、一方的でなくしっかりと会社の事情を本人にしっかりと説明したうえで同意を得るようにしましょう。
「使用者の責めに帰すべき事由」とは?
休業手当を支払わなければならない「使用者の責めに帰すべき事由」とは、使用者の故意・過失だけには限りません。
調達先の事情で原材料や資材を調達できない場合や、業績悪化による経営難のため資金や資材の獲得ができない場合でも、使用者の都合による休業として取り扱われ、休業手当の支払いが必要となります。
ただし、天災事変など不可抗力により事業の継続が困難なため休業させたような場合は、休業手当の支払いは必要ありません。
しかし天災事変により休業手当の支払いが不要となったとしても、休業している従業員のために雇用調整助成金や中小企業緊急雇用安定助成金などを申請して休業保障に充てたり、できるだけ早く事業を再開できるように対応することが大切です。
休業手当の支払いはいつでもいいの?
休業手当は従業員の生活を保護するための最低保障です。毎月当たり前に入っていた賃金が突然入ってこなくなると、従業員の生活は脅かされてしまいます。
そのため、休業手当も賃金と同じく、通常の賃金支払い日に支払わなければなりません。
また、一日の一部を休業させた場合も、その部分は平均賃金6割以上の休業手当分を通常賃金と合わせて支払わなければなりません。不就労部分を全額控除することのないようにしましょう。