複数ある事業場の就業規則の届け出について
複数事業場の就業規則届け出義務
就業規則は、常時10人以上の従業員を使用する事業場に作成・届け出義務がありますので、原則として事業場ごとに所轄労働基準監督署に届け出なければなりません。
ただし、各事業場が同一の就業規則の適用を受ける場合は、本社がその所轄労働基準監督署にまとめて届け出ることができます。
複数事業場をもつ会社の本社一括による就業規則の届け出
従来、多数の支社、支店をもつ会社は、それぞれの支社、支店、工場等の事業場ごとに、それぞれを管轄する労働基準監督署へ就業規則を届け出なければならず、膨大な事務を負担していましたが、平成15年以降は内容が同一であれば本社で一括して届け出ることができることとされました。
一括届け出を行う場合の基本事項
提出先 | 本社を管轄する労働基準監督署 |
提出部数 | 本社を含む各事業場の数に対応する部数の就業規則を各2部(同一監督署に事業場が複数ある場合は監督署に対応した数) |
提出期限 | 常時10人以上を使用することとなった時 |
記載事項 | 就業規則届には、本社の就業規則の内容と各事業場の就業規則の内容が同一である旨を記載する。 |
添付書類 | ①就業規則本文(別規程を含む。変更の場合は変更部分) ②本社以外の各事業場の名称、所在地、所轄労働基準監督署名を記載したリストを添付し、欄外に「本社の就規則と同一である」と記載する。 ③意見書(事業場ごとの就業規則に添付する) |
就業規則の一括届け出における「使用者」とは
本来、就業規則の届け出義務がるのは、事業場ごとの「使用者」ですので、支店長、工場長といった事業場の長でいいのですが、会社の代表者(社長)としても構いません。
就業規則を本社で一括して届け出る場合は本社の代表者の名前で届け出ることとなります。
意見書について
就業規則を届け出る場合は、事業場の従業員の過半数で組織する労働組合または従業員の過半数代表者の意見書を添付しなければなりません。
こちらの意見書は事業場単位でみるので、企業全体で大多数を占めている労働組合がある場合でも、従業員の過半数を組織していない事業場がある場合では、別の過半数労働組合か過半数代表者の意見書を添付しなければなりません。
また、就業規則を本社で一括して提出する場合も、意見書については同様で、各事業場ごとに意見を聴いて、それぞれ意見書を添付しなければなりません。
なお、その場合大多数組合が過半数を占めている事業場における意見書については、その労働組合はもちろん、事業場に独立した支部、分会などがあれば、その支部、分会の意見でも要件を満たすものと考えられます。