退職届と退職願の違い
就業規則に「30日前に退職届を提出すること」と明示されている会社は少なくありません。
あれ?退職願じゃないの?と疑問に思われる方もいらっしゃると思います。
実は退職届と退職願は意味が違うのです。
退職のパターン
①自主退職
従業員が自主的に退職の意思表示をすること。「辞職」ともいいます。
②合意解約
会社と従業員が合意で労働契約を終了すること。
③解雇
会社から従業員へ一方的に退職を通知すること
☆退職届
従業員が一方的に「退職する」ことを断言するのが退職届です。
会社が受理しようとしなかろうと、退職届を届け出た日に退職することが確定します。
こちらは①の自主退職にあたります。
届け出た従業員がやっぱり退職を取り消したい、退職日を変更したいと申し出ても、会社が承諾しない限りは撤回・変更はできません。
☆退職願
従業員が会社に「退職したい」ので合意してほしいと願い出るのが退職願です。
この意思表示に会社が合意したら②の「合意契約」が成立するのです。
こちらは会社が正式に受理するまでは退職の撤回・退職日の変更は可能です。
☆解雇
解雇は会社からの一方的にな退職なので、退職願も退職届も必要ありません。
この場合、30日前に解雇の予告をするか、平均賃金の30日分の解雇予告手当を支払う必要があります。
退職願を受理されなかったら?
「退職させてください」と願い出ても慰留されてり、放置されてしまった場合は退職できないのでしょうか?
そんなことはありません。
退職の意思表示をしてから原則として14日後に退職届と同じ効力が発生します。(民法627条1項)。
退職が撤回できなくなるのです。
しかし、14日後に退職が撤回できなくなるからといっても社会人のマナーとして会社の承諾を得て円満に退職する方がベターです。
会社側も退職願が提出されたのに無視していると、退職の効力が発生し、引継ぎ期間もなく、従業員が辞めていってしまうという事態になりかねませんので、退職願が提出されたときはきちんと従業員と話し合うことが大切です。
会社側から従業員へ退職を願い出たい場合は
会社から一方的に退職させることは解雇ですが、会社から従業員へ合意契約を申し出ることを「退職勧奨」といいます。
こちらは従業員が承諾しない限り合意解約は成立しません。
たとえ合意に至ったとしても、雇用保険の離職理由区分では、退職勧奨は事業主都合の退職扱いとなりますのでご注意ください。